比較記事 / 冷蔵庫
15年前の冷蔵庫、買い替えで電気代はいくら下がる? 新旧JISの差を直して計算した
この記事はプロモーションを含みます広告について
実家の冷蔵庫が15年目に入って、「買い替えれば電気代が下がるから」と勧めたくなったとします。古い冷蔵庫の扉の内側にあるラベルを見ると、年間消費電力量は 270kWh。いま売っている 470L クラスのカタログ値も 270kWh 前後です。これだけ見ると、買い替えても電気代は変わらないように見えます。
実際はそうではありません。冷蔵庫の年間消費電力量は2015年に測り方が変わっていて、古いラベルの数字は今の数字より小さく出ています。直してから計算すると、差はたしかにあります。ただし、本体代を取り戻せるほどの金額ではありません。
ラベルの数字が小さく出ている理由
いま売られている冷蔵庫の年間消費電力量は、2015年6月に改正された JIS C 9801-3:2015 で測った値です。省エネ法などの表示ルールも2016年3月に変わりました。それより前の冷蔵庫は JIS C 9801:2006 の方法で測っています。日本電機工業会は、新しい方法では年間消費電力量の表示が大きくなる傾向がある (逆に定格内容積は小さくなる傾向がある) と説明しています。
どれくらい変わるのかは、シャープが同じ機種を新旧両方の方法で測った値を公開しているので確かめられます。400L 以上の機種を抜き出しました。
| 機種 | 旧JIS (2006) | 新JIS (2015) | 倍率 |
|---|---|---|---|
| SJ-GF60B | 220kWh/年 | 400kWh/年 | 約1.8倍 |
| SJ-GT50B | 210kWh/年 | 340kWh/年 | 約1.6倍 |
| SJ-XF47B | 230kWh/年 | 390kWh/年 | 約1.7倍 |
| SJ-PW42B | 240kWh/年 | 330kWh/年 | 約1.4倍 |
| SJ-G61X | 470kWh/年 | 600kWh/年 | 約1.3倍 |
| SJ-55W | 450kWh/年 | 515kWh/年 | 約1.1倍 |
機種によって1.1倍から1.8倍まで開きがあります。古い冷蔵庫のラベル値は、1.1〜1.8倍した幅で読むのが妥当なところです。
20年以上前の冷蔵庫になると、話はさらに大きくなります。2006年の改正では、庫内に水を入れたペットボトルを置いたり、自動製氷などの機能を動かしたりと、実際の使い方に近い条件で測るようになりました。このとき、大型で多機能な機種には表示値が3倍以上変わったものもあります。2006年より前のラベルは、ほとんど当てになりません。
直して計算すると
冒頭の例で計算してみます。15年前に買った 450L クラスで、ラベルが 270kWh/年の冷蔵庫です。
今の測り方に直すと、270 × 1.1〜1.8 で約300〜490kWh/年になります。現行の 470〜490L クラスは、日立 R-HWS47Y と三菱 MR-MZ49N が 269kWh/年、パナソニック NR-F49EY3 が 279kWh/年です。差は年間約20〜220kWh、目安単価 31円/kWh で年間約600〜6,800円になります。
古い冷蔵庫は、パッキンの劣化などでラベルよりさらに電気を使っているかもしれません。それを考えに入れても、20〜30万円の本体を電気代の差で取り戻すには何十年もかかります。電気代を理由に買い替えを勧めるのは、数字の上では無理があります。
それでも15年目で買い替えを考える理由
では15年ものは使い続ければいいかというと、そうとも言えません。理由は修理部品です。
全国家庭電気製品公正取引協議会の基準では、冷蔵庫の補修用性能部品を持っておく期間は、製造をやめてから9年です。パナソニック、日立、シャープ、東芝などもこの期間を定めています。15年前に買った冷蔵庫は製造終了から9年以上たっていることが多く、壊れたときに部品がなくて直せないことがあります。
冷蔵庫が止まれば、中の食品はまとめてだめになります。冷えが悪くなった、冷凍室に急に霜が増えた、運転音が大きくなって止まらない、製氷が止まった、水が漏れる。こうした症状が出ているなら、壊れてから慌てて選ぶより、いまのうちに次の1台を決めておく方が損をしません。
470〜490L クラスの現行機と型落ち
3〜4人家族でよく選ばれる 470〜490L クラスを、メーカーの公表値で並べます。年間消費電力量はすべて新JIS の値です。
| 機種 | 発売 | 定格内容積 | 外形寸法 (幅×奥行×高さ) | 年間消費電力量 |
|---|---|---|---|---|
| 日立 R-HWS47Y | 2026年9月 | 470L | 600×701×1,833mm | 269kWh/年 |
| 日立 R-HWS47X | 2025年9月 | 470L | 600×701×1,833mm | 269kWh/年 |
| パナソニック NR-F49EY3 | 2026年1月 | 490L | 650×650×1,850mm | 279kWh/年 |
| パナソニック NR-F49EY2 | 2025年3月 | 490L | — | 279kWh/年 |
| 三菱 MR-MZ49N | 2026年1月 | 485L | 650×650×1,833mm | 269kWh/年 |
「—」はメーカー資料で確認できなかった項目です。
最初に見るべきは幅です。同じ 470L 前後でも、日立の HWS タイプは幅60cm・奥行701mm、パナソニックと三菱は幅65cm・奥行650mm です。いまの冷蔵庫が幅60cm のスペースに入っているなら、選択肢は日立の HWS タイプにほぼ絞られます。日立は奥行きが出るので、通路をふさがないか、扉を開けたときに壁や家具に当たらないかも見ておいてください。
本体寸法ぴったりのスペースでは置けません。パナソニック NR-F49EY3 の場合、左右に 5mm 以上、上に 40mm 以上の放熱スペースが必要です。玄関や廊下、階段を本体が通れるかどうかも、メーカーが公開している搬入寸法で確認しておきます。
扉の開き方も違います。日立 HWS タイプは片開きなので、右開きか左開きかを選ぶ必要があります。パナソニック NR-F49EY3 と三菱 MR-MZ49N は両側に開くフレンチドアです。
日立は型落ちの R-HWS47X が狙い目
R-HWS47Y と前年の R-HWS47X は、定格内容積、外形寸法、年間消費電力量が同じです。変わったのは冷凍室の呼び名やトレイの表記といった細かいところです。R-HWS47Y が2026年9月に出たばかりなので、R-HWS47X は在庫処分で値下がりしやすい時期に入っています。
パナソニックは霜つき抑制が要るかどうか
NR-F49EY3 と前年の NR-F49EY2 は、容量 490L と年間消費電力量 279kWh/年が同じです。NR-F49EY3 には冷凍室の霜つきを抑える運転制御が加わり、重さが約1kg軽くなりました。冷凍食品を長く溜めておく家庭でなければ、価格差を見て NR-F49EY2 を選んでもかまいません。
注文する前に
冷蔵庫は家電リサイクル法の対象なので、古い冷蔵庫を処分するにはリサイクル料金と収集運搬料金がかかります。ショップが引き取りに対応しているか、いくらかかるかは、本体の値段と一緒に確認してください。10年以上使う家電なので、ショップ独自の5年・10年保証が付くかどうかも比べる価値があります。
ショップごとの価格
幅60cm に置くなら: 日立 R-HWS47X (型落ち) / R-HWS47Y
幅65cm・フレンチドア: パナソニック NR-F49EY2 (型落ち) / NR-F49EY3
幅65cm・485L: 三菱 MR-MZ49N
出典
- 日本電機工業会「定格内容積、年間消費電力量の測定方法変更に伴う表示変更について」
- シャープ「新旧JIS表示値一覧」
- 環境省 デコ活「冷蔵庫の消費電力計算方法が変わりました」
- 家電 Watch「冷蔵庫の電気料金表示が4倍になった理由」(2006年の JIS 改正)
- 全国家庭電気製品公正取引協議会 補修用性能部品の保有期間
- 日立 R-HWS47Y 製品情報、価格.com 新製品ニュース (R-HWS47Y・R-HWS47X)
- パナソニック NR-F49EY3 仕様
- 三菱電機 MR-MZ49N 製品情報
FAQ
Q.15年前の冷蔵庫の年間消費電力量を、今の冷蔵庫と比べてもいいですか?
Q.冷蔵庫を買い替えると電気代はいくら安くなりますか?
Q.古い冷蔵庫は修理できますか?
Q.日立の R-HWS47Y と型落ちの R-HWS47X は何が違いますか?
Q.冷蔵庫の型落ちはいつ安くなりますか?
関連記事
一人暮らしの冷蔵庫、小さいほど電気代が安いとは限らない。121〜201Lの年間電気代・冷凍室・処分費を比較
121L のハイアール JR-NF121C と 179L のシャープ SJ-TD18R は年間消費電力量がどちらも 270kWh です。一人暮らし向け 2ドア冷蔵庫 13 機種の年間電気代 (31円/kWh)、冷凍室に実際に入る量、左開きにできる機種、放熱スペースと設置幅、型落ち (SJ-D15P・NR-B18C2・AQR-17R) との違い、引越しで手放すときのリサイクル料金 (170L以下と171L以上) をメーカー公表値で比べました。
記事を読むドラム式から縦型に戻すと水道・電気代は年いくら変わる? 乾燥の回数、防水パン、フィルター掃除で決める
洗うだけなら、12kgのドラム式と縦型の水道・電気代の差は1日1回で年3,000〜6,000円ほどです。毎日乾燥まで回すと、ヒートポンプのドラム式は年1.1万〜1.9万円、ヒーター乾燥の縦型洗濯乾燥機は年3.5万〜4.5万円まで開きます。パナソニック NA-LX129F、日立 BD-STX130P・BW-X120P・BW-DX100M、東芝 TW-137XP6・AW-12VP4、シャープ ES-12X2 などのメーカー公表値で計算し、防水パンやドアの開き、フィルター掃除の頻度、前年モデルとの違いもまとめました。
記事を読む有機ELテレビの2026年モデルは何が変わったか。ビエラ Z95C・ブラビア 8 II・LG C6 と型落ちの差
パナソニック Z95C はパネルと反射対策、ソニー BRAVIA 8 II は QD-OLED への切り替え、LG C6 はプロセッサーと最大リフレッシュレートが変わりました。2026年モデルと型落ち (Z95B・BRAVIA 8・C5) の違いをメーカー発表と仕様で整理し、10年前の液晶テレビと年間消費電力量を比べるときの注意点もまとめました。
記事を読む空気清浄機の「〇畳」は数え方が2つある。新旧基準をそろえてダイキン・パナソニック・シャープを比べる
空気清浄機の「適用床面積」はJEM1467の改定で新旧2つの基準が混在しています。ダイキン MC556A・MCK556A・MCK706A、パナソニック F-VXW90、シャープ KI-TX100・FU-S50 のメーカー公表値を同じ基準で並べ、部屋の広さ別の選び方、型落ちで十分なケース、電気代の試算までまとめました。
記事を読む