比較記事 / スタッドレスタイヤ
スタッドレスは型落ちで足りるか。WZ-1とVRX3、ICE ProとWINTER MAXX 03、アイスガード8と7をメーカー発表値で比べる
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タイヤ通販で 195/65R15 のスタッドレスを探すと、ブリヂストンの WZ-1 と VRX3、ダンロップの ICE Pro と WINTER MAXX 03 が同じ画面に並びます。1本あたりの差は数千円から1万円前後あり、4本ではそれなりの金額です。しかも型落ちのほうには「2022年製」と書かれた商品が混じっています。
新しいモデルはどれだけ効くようになったのか、型落ちを選んでいいのはどんな人か、製造年の古い新品は避けるべきか。メーカーが公表している数字と資料を使って、新旧を比べました。実際に雪道で試したわけではないので、性能の数値はすべてメーカーの発表値です。
新旧の組み合わせと、メーカーが発表した差
国内4社の乗用車用と、SUV用の2組を並べます。「比べた相手」はメーカーが性能比較に使っている従来品です。
| メーカー | 新モデル (発売) | 比べた相手 (発売) | 氷上の発表値 | そのほかの発表値 | 旧モデルの扱い |
|---|---|---|---|---|---|
| ブリヂストン | BLIZZAK WZ-1 (2025年9月) | BLIZZAK VRX3 (2021年9月) | 制動距離11%短縮、旋回ラップ4%短縮 | 4年使用後も従来品の新品時を超えるゴム性能 | 販売継続 |
| ダンロップ | WINTER MAXX ICE Pro (2026年8月から順次) | WINTER MAXX 03 (2020年8月) | ブレーキ25%向上、コーナリング9%向上 | 4年経過後も氷上性能が持続 | 販売継続とメーカーが明言 |
| ヨコハマ | iceGUARD 8 iG80 (2025年9月) | iceGUARD 7 iG70 (2021年9月) | 制動14%向上、旋回13%向上 | 雪上制動4%向上、約4年後も氷上グリップを維持 | 販売継続 |
| トーヨー | OBSERVE GIZ3 (2024年8月) | OBSERVE GIZ2 (2020年8月) | ブレーキ22%向上 | — | 一部サイズは在庫限り |
| ブリヂストン (SUV) | BLIZZAK ICEPEAK (2026年9月) | BLIZZAK DM-V3 (2019年) | 制動距離11%短縮 | 摩耗ライフ14%向上 | — |
| ヨコハマ (SUV) | iceGUARD 8 SUV (2026年9月から順次) | iceGUARD SUV G075 (2016年9月) | 14%向上 | 雪上4%・耐摩耗11%向上 | — |
この表の%は、メーカーごとに自社の旧モデルと比べた数字です。試験のタイヤサイズも初速も違います。WZ-1 は 185/60R15 で初速20km/h、ICE Pro は 205/55R16 で初速20km/h、ICEPEAK は 225/65R17 で初速30km/h です。比べる相手の発売年もばらばらなので、ICE Pro の25%と WZ-1 の11%を並べて「ダンロップのほうが効く」とは読めません。メーカーをまたいで比べられるのは、発売時期と、旧モデルが売られ続けているかどうかくらいです。
もうひとつ表から読み取れるのは、旧モデルの多くがまだ現役だということです。ブリヂストンの製品ページには WZ-1 と並んで VRX3 が載っていますし、ダンロップは ICE Pro の案内の中で WINTER MAXX 03 を「引き続きラインナップに残り、用途や走行環境に応じて選んでいただけます」と書いています。ヨコハマも iG80 の隣に iG70 を載せています。生産が終わって在庫を売り切るだけの型落ちとは事情が違い、価格の違う2つのグレードとして並んでいると見たほうが実態に近いでしょう。
メーカーごとに、型落ちを選んでいいか
ブリヂストン WZ-1 と VRX3
ブリヂストンが公開している試験では、185/60R15 のタイヤで初速20km/h から ABS でブレーキをかけたとき、WZ-1 は 13.32m、VRX3 は 15.00m で止まっています。差は約1.7mです。屋内リンクで半径7mを回るラップタイムは 17.69秒と 18.47秒でした。
WZ-1 は「ロングステイブルポリマー」という素材で、4年使ったあとでも従来品の新品時を超えるゴムの性能を保つとしています。ただ、VRX3 のほうもブリヂストンは「4年使用後も性能が落ちにくい」と説明しており、長持ちするという主張は両方に付いています。
サイズは WZ-1 が 145/80R13 から 315/40R21 までの119サイズで、VRX3 にも 155/65R14 や 195/65R15 など乗用車の主なサイズがそろっています。ブリヂストンのサイズ表では、WZ-1 にはメーカー希望小売価格が付いていて、VRX3 はオープン価格になっています。
凍った交差点や坂道を通勤や送迎で毎日のように走るなら、1.7mの差は小さくありません。一方で、雪の少ない地域に住んでいて、スキー場へ行く数日のためにスタッドレスを履くような使い方なら、VRX3 で困る場面は限られます。VRX3 も2021年の発売時には VRX2 比で氷上ブレーキ20%向上をうたったモデルで、価格差を理由に履き替えを先延ばしにするくらいなら、VRX3 を早めに4本そろえるほうが安全です。
ダンロップ ICE Pro と WINTER MAXX 03
4社の中で、新旧の性格がいちばんはっきり分かれているのがダンロップです。ダンロップは ICE Pro を「氷上性能に振り切った」プレミアムモデルとし、FAQ で次のように説明しています。タイヤの性能には相反関係があり、WINTER MAXX 03 は氷雪上性能を中心にライフ性能などもまんべんなく伸ばしたタイヤ、ICE Pro は相反する一部の性能を犠牲にして氷に振り切ったタイヤ、という違いです。どの性能を抑えたのか具体的な数字は公表されていませんが、ICE Pro が向く人として「雪や乾燥路の性能より、氷上性能を最優先したい方」を挙げています。
氷上の数字は、205/55R16 をフォルクスワーゲン・ゴルフVIII に履かせ、岡山県のアイスリンクで初速20km/h から測ったものです。ブレーキ性能が25%、コーナリング性能が9%上がったとしています。新しい「ふんばり吸水ゴム」に加えて、ゴムの硬化を抑える「うるおいポリマー」を増やし、4年経っても氷上の効きが持続する設計だと説明しています。この4年は、促進劣化で経年を再現したタイヤを室内試験機で測った結果です。
WINTER MAXX 03 は2020年8月の発売で、ICE Pro との価格差は4社の新旧の中でも大きめです。乾いた道や濡れた道を走る時間のほうが長く、雪の日は年に何回かという人には、ダンロップ自身の説明に照らしても WINTER MAXX 03 のほうが合っています。ICE Pro を選ぶ意味があるのは、凍結路を日常的に走る人です。WINTER MAXX 03 は通販で製造年の古いものが安く出ていることがあるので、後で説明する製造年の確認を忘れないでください。
ヨコハマ アイスガード8 (iG80) と アイスガード7 (iG70)
ヨコハマの比較は 195/65R15 91Q で行われています。iG70 比で、氷上の制動が14%、氷上の旋回が13%、圧雪路の制動 (初速40km/h) が4%向上したとしています。発売時の発表では、ドライとウェットのグリップもそれぞれ3%向上し、転がり抵抗と耐摩耗性能は従来品と同等を保ったとしています。
ダンロップと違い、氷上性能を伸ばすために何かを削ったという説明はありません。ゴムには劣化を抑える「オレンジオイルS+」を使い、約4年後も氷上グリップを維持するとしています。サイズ表を見ると、iG80 にも 155/65R14 と 195/65R15 があり、軽自動車から小型ミニバンまでカバーしています。
iG70 を選んでも、ヨコハマが「ヨコハマスタッドレス史上最高の氷上性能」とうたっていた2021年のモデルです。雪道を走る日が少ない人には iG70 で十分です。凍結路を走る機会が多く、同時に摩耗の早さも気にしたくない人は iG80 を選ぶ理由があります。
トーヨー OBSERVE GIZ3 と GIZ2
GIZ3 は2024年8月の発売で、195/65R15 91Q、初速20km/h の試験で GIZ2 比22%のブレーキ性能向上をうたっています。サイズは13〜20インチの68サイズです。トーヨーの製品サイトには GIZ2 も残っていますが、一部のサイズに「在庫限り」の印が付いています。GIZ3 自体が他社の新モデルより1年早く出ているので、型落ちを探すより GIZ3 を他社の型落ちと並べて比べるほうが、選択肢として現実的です。
SUV用: ICEPEAK と DM-V3、アイスガード8 SUV と G075
SUV用はブリヂストンとヨコハマがともに2026年9月に新モデルを出しました。ブリヂストンの ICEPEAK は DM-V3 の後継で、SUV・CUV に加えて、車重が重くトルクの大きい EV やハイブリッド車を対象にしています。サイズは 175/80R16 から 315/35R21 までの57サイズです。225/65R17 で初速30km/h の氷上制動距離が11%短く、RAV4 ハイブリッドで1万km走らせた摩耗ライフが14%向上したとしています。
ヨコハマの iceGUARD 8 SUV は、2016年発売の G075 の後継です。氷上14%、雪上4%、耐摩耗11%の向上をうたい、28サイズで始めて2027年にサイズを増やす予定です。
SUV用で気をつけたいのは、同じ 225/65R17 でもロードインデックス (後述) が変わっていることです。メーカーのサイズ表では、DM-V3 と G075 の 225/65R17 は 102Q ですが、ICEPEAK は 106Q XL、iceGUARD 8 SUV は 106T です。XL (エクストラロード) 規格のタイヤは、同じ荷重を支えるのに標準規格より高い空気圧が必要になります。ヨコハマもサイズ表で、同じタイヤサイズでも規格によってロードインデックスと適正空気圧が異なると注意しています。旧モデルから乗り換えるときは、取り付ける店で空気圧を合わせてもらってください。
DM-V3 は2019年、G075 は2016年の発売で、どちらも新モデルとの間隔が乗用車用より長く空いています。重い EV や大型 SUV で摩耗の早さが気になっているなら、新モデルの摩耗ライフの向上は価格差を払う理由になります。
製造年の古い「新品」は避けるべきか
通販のスタッドレスには、タイトルに「2025年製」「2022年製」と製造年を書いた商品がよくあります。型落ちが安い理由のひとつが、製造から時間のたった在庫であることです。
製造年はタイヤ側面で確かめられます。ホイールに近いところに刻印された製造番号の下4桁が製造年週で、前の2桁が週、後ろの2桁が西暦の下2桁です。「3825」なら2025年の第38週、9月ごろの製造です。
古い新品の性能については、ブリヂストンがスタッドレスのQ&Aで試験結果を紹介しています。適正に保管された新品のスタッドレスタイヤは、2シーズン、もしくは3シーズンは同等の性能を保つことが確認されているという内容です。この試験はタイヤ公正取引協議会の立ち会いのもと、2018年12月から2019年11月に行われ、ブリヂストン、住友ゴム (ダンロップ)、横浜ゴム、TOYO TIRE、日本ミシュランタイヤ、日本グッドイヤーの6社の製品について、2016年・2017年・2018年製の氷上制動を比べています。ブリヂストンは理由として、ゴムの性能低下は適正な保管中にはほとんど進まず、車に付けて走ることで発生する熱と力によって進むと説明しています。
この結果から言えるのは、製造から3年以内であれば、新品として扱って問題ないということです。逆に、製造から3年を超えたタイヤについてはこの試験の範囲外で、同じように考えてよいという根拠は公開されていません。2020年製や2022年製の WINTER MAXX 03 が安く出ていても、新品の性能をそのまま期待できるかは分からない、というのが正直なところです。メーカー各社が新モデルでうたう「4年後も効く」という主張も、使い始めてからの年数の話です。
ブリヂストンの公式通販は製造年週を指定できないとしています。ほかの通販では製造年をタイトルに書いている店が多いので、書いていなければ注文前に問い合わせると確実です。「2025〜2026年製」のような表記は、どちらかの年のものが届くという意味です。
何シーズン使えるか。プラットホームとゴムの硬さ
スタッドレスタイヤの溝の中には、新品時の溝の深さの50%の高さに「プラットホーム」という段差があります。摩耗してこれが表面に出たら、冬用タイヤとしては使えません。ブリヂストンと JAF がそろってこの基準を示しています。プラットホームの位置は、タイヤ側面の4か所にある矢印 (↑) が指す溝の中です。ブリヂストンは、ブリザックなら100円玉を溝に差し込んで「1」の字が見えれば残り溝が半分以下になった目安になるとしています。
プラットホームが出ていなくても、ゴムが硬くなると氷の上では効かなくなります。ブリヂストンは、ゴムが硬くなったら溝があっても十分な効きは得られないとして、硬度計のある店での点検を勧めています。4シーズン目、5シーズン目に入るタイヤは、溝と硬さの両方を見てもらってから冬を迎えると安心です。
買う時期にも関係する話として、ブリヂストンは新しいスタッドレスタイヤに、60km/h 以下で200km以上の慣らし走行を勧めています。初雪の当日に履き替えるのではなく、少し前に付けて普段の道を走っておくと、本来のグリップが出た状態で雪の日を迎えられます。
サイズ表記の読み方と、買う前に確かめること
タイヤのサイズは、今付いているタイヤの側面か、運転席のドア付近にある空気圧のラベルで確かめられます。195/65R15 91Q を例にすると、次のように読みます。
- 195 はタイヤの幅 (mm)
- 65 は偏平率 (幅に対する高さの割合、%)
- R はラジアル構造
- 15 はホイールのリム径 (インチ)
- 91 はロードインデックスで、タイヤ1本が支えられる重さ。91 は 615kg
- Q は速度記号で、160km/h
JAF は、ロードインデックスが表す負荷能力が、それまで付けていたタイヤを下回らないように選ぶよう案内しています。SUV のところで触れたように、同じサイズでも XL 規格かどうかでロードインデックスが変わることがあるので、サイズの数字だけでなく末尾まで見比べてください。通販では、同じ型番なのにメーカーの国内サイズ表と末尾の表記が違う商品 (225/65R17 の DM-V3 で「102S」など) も見かけます。国内向けとは仕様が違う可能性があるので、国内サイズ表にない表記なら販売店に確かめてから買うと安心です。
装着の向きが決まっているタイヤもあります。iceGUARD 8 SUV は回転方向が決まった方向性パターンで、OBSERVE GIZ2 は内側と外側が決まった非対称パターンです。取り付けは店に任せることが多いはずですが、ホイール付きで自分で交換する場合は、側面の回転方向の矢印や「OUTSIDE」の刻印を確かめてください。
価格を比べる
乗用車用は 195/65R15、SUV用は 225/65R17 のカードです。通販では1本の価格で出している店と、2本・4本セットの店が混在しているので、本数と製造年を確かめてから比べてください。同じサイズのホイールセットは、ここでは対象から外しています。
出典
- ブリヂストン ニュースリリース「BLIZZAK WZ-1」を9月より発売 (2025年7月15日)
- ブリヂストン ニュースリリース「BLIZZAK ICEPEAK」を発売 (2026年7月27日)
- ブリヂストン ニュースリリース「BLIZZAK DM-V3」を発売 (2019年7月9日)
- ブリヂストン BLIZZAK 製品ページ (WZ-1・VRX3・ICEPEAK・DM-V3 の製品特徴とサイズ表)
- ブリヂストン スタッドレスタイヤなんでもQ&A (在庫期間中の性能変化、寿命の判断、硬度、慣らし走行)
- ブリヂストン FAQ「新品タイヤを購入したら製造年週が古いタイヤだったが、大丈夫ですか?」「タイヤの製造時期はどこを見ればわかるの?」
- ブリヂストン タイヤオンラインストア よくある質問 (製造年週の指定について)
- 住友ゴム工業 ニュースリリース WINTER MAXX 新シリーズ「ICE Pro」を8月より発売 (2026年7月1日)
- ダンロップ WINTER MAXX ICE Pro 特設ページ (試験条件、ICE Pro と WINTER MAXX 03 の違いに関する FAQ)、スタッドレスタイヤ ラインアップ
- 横浜ゴム ニュースリリース「アイスガード エイト」新発売 (2025年)、「iceGUARD 8 SUV」新発売 (2026年7月30日)、「アイスガード セブン」新発売 (2021年)、「iceGUARD SUV G075」新発売 (2016年7月15日)
- ヨコハマタイヤ アイスガード ブランドサイト (試験条件)、iceGUARD 8・iceGUARD 7・iceGUARD 8 SUV・iceGUARD SUV G075 サイズ表
- TOYO TIRE ニュースリリース「OBSERVE GIZ3」を発売 (2024年7月11日)、OBSERVE GIZ2 製品情報
- JAF クルマ何でも質問箱「スタッドレスタイヤの使用限度と正しい保管方法とは?」「タイヤを選ぶときはどこに注意すればいいのですか?」
- 日本グッドイヤー「タイヤサイズの見方」
FAQ
Q.ブリザック WZ-1 と VRX3 は何が違いますか?
Q.ダンロップの ICE Pro と WINTER MAXX 03 はどちらを選べばいいですか?
Q.製造年が古い新品のスタッドレスタイヤは性能が落ちていますか?
Q.タイヤの製造年はどこを見れば分かりますか?
Q.スタッドレスタイヤは溝がどこまで減ったら交換ですか?
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