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比較記事 / 電動工具バッテリー

マキタ・HiKOKI の互換バッテリーで何が起きているか。電動工具の事故103件と、純正を1Whあたりで比べた値段

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Amazon や楽天で「BL1860B」と検索すると、マキタ純正と、ほとんど同じ見た目で「互換」「6.0Ah」と書かれたバッテリーが同じ画面に並びます。値段の差は大きく、予備をもう1本買おうとしている人ほど迷うところです。

この記事の答えは、容量を1段下げてでも純正を選ぶ、です。そう言える理由は、国の事故データとメーカーの告知の両方にあります。ここでは、その根拠と、純正を少しでも安く揃えるための計算、充電器と処分の話までをまとめました。マキタの型番末尾 (DZ・DRGX など) の読み方や、18V・ライトバッテリ・40Vmax の工具ごとの互換は、マキタの電動ドライバーの記事で扱っているので、ここでは繰り返しません。

非純正バッテリーの事故は、充電中と使い始めの1年に集中している

NITE (製品評価技術基盤機構) は2024年6月27日、消費者庁・経済産業省と連名で、非純正バッテリーの事故についての資料を公表しました。2014〜2023年の10年間に集めた事故情報のうち、非純正バッテリーによるもの (関与が疑われるものを含む) は235件あり、227件が火災に発展しています。

製品別に見ると、いちばん多いのが充電式電動工具です。

製品事故件数うち火災周囲に燃え広がった件数 (うち建物全焼)人的被害
充電式電動工具10310293 (7)6件・14人
充電式掃除機979577 (6)5件・5人
スマートフォン1210102件・4人
ノートパソコン12912—
その他 (玩具・電動アシスト自転車など)11119 (1)—
合計235227201 (14)13件・23人

NITE の説明では、電動工具と掃除機向けの品質に問題のある非純正バッテリーが2018年ごろから多く出回り、2019年に事故が急増して、その後も横ばいが続いています。マキタの 18V 掃除機を使っている家なら、上の表の上2行はどちらも自分ごとです。

使用状況の内訳も示されています。235件のうち182件 (78%) は充電中、26件 (11%) は保管中の事故でした。使い始めてからの期間では、1年未満が125件 (53%) と半分を超えます。長く使って劣化したから燃えるのではなく、買ってすぐ、充電器に差している間に燃えている例が多いということです。

資料に載っている電動工具の事例では、2020年4月、ネット通販で買った電動工具用の非純正バッテリーを初めて充電器で充電していたところ、異音がして出火し、使用者がやけどを負っています。原因は、バッテリー内の保護回路が一部の電池セルの電圧しか監視できない設計だったことで、残りのセルが過充電になって発熱したとされています。純正の充電器を使っていても、バッテリー側の保護回路が手を抜いていれば防げない、という事例です。

マキタと HiKOKI は互換品について何と言っているか

マキタは2018年12月3日付の告知で、純正によく似た模倣品・互換品の電池パックと充電器、電池パックの中の充電池だけを交換したリサイクル修理品が流通しているとして、それらの使用に起因する事故・故障については一切の責任を負いかねるとしています。工具本体の性能や安全性を損なうおそれがあるとも書かれています。

HiKOKI も2017年9月付で同じ趣旨の告知を出していて、こちらは対象を「改造した蓄電池 (充電池などの内蔵部品を交換するリサイクル修理を含みます)」と明記しています。通販で見かける「セル交換サービス」で再生した純正の外装のバッテリーも、メーカーから見れば純正品ではありません。

もうひとつ、NITE の資料が挙げているのが事故後の問題です。非純正バッテリーの販売事業者には、電話番号の記載がない、連絡しても対応しない、日本語が通じないといった例があり、機器本体のメーカーからの補償も受けられないおそれがあるとしています。

この点については、2025年12月25日に電気用品安全法などの製品安全4法の改正法が施行され、通販モールを通じて日本の消費者に直接売る海外の事業者にも、国への届出と、日本国内に住所があり日本語で対応できる国内管理人の選任が義務づけられました。ただ、出品されている互換品の売り手が届出を済ませているかを、買う側が商品ページから確かめる手段は限られています。法律が変わったから互換品が安全になった、とは言えません。

本物の BL1860B と模造品を見分ける

互換品とは別に、マキタのロゴまで付けた模造品もあります。マキタは2024年2月1日、外観が純正に似た「模造 BL1860B」が出回っているとして、純正と模造品を並べた写真を公開しました。違いとして挙げられているのは次の5か所です。

  • 社名ロゴのフォントと、ラベル下部の表記
  • バッテリーのレール (工具に差し込む部分) の形と高さ
  • 端子の形
  • 底面のビス穴のキャップ。純正は1か所に白いキャップがある
  • 取りはずしボタンの赤いテープ。純正には取付け確認用の赤いテープがある

ラベルの文言や「Li-ion」のリサイクル表示、PSE マークと「株式会社マキタ」の表記は、模造品の写真にもほぼ同じものが印刷されています。ラベルだけを見て本物と判断するのは難しいということです。

中古の純正品を買う場合も同じ注意が要ります。型番末尾に B の付く BL1860B・BL1850B・BL1830B・BL1820B には、ボタンを押すと4段階で残量を示し、ランプ2個の交互点滅で故障を知らせる自己診断機能が付いています。手元に届いたら、まず確認ボタンを押して、表示が正常か見てください。

★マークは「保護機能付き」の印

純正バッテリーにある★マークについて、マキタの取扱説明書 (充電式チェンソー MUC306D など) は、「★マークがあるバッテリは保護機能を搭載しています」と説明しています。充電式草刈機の取扱説明書には、★マーク付きのバッテリーを使うと、過負荷や高温、残量低下のときにバッテリー寿命を守るためにモーターが自動で止まる、と書かれています。ただ、外から見える記号なので模造品でもまねることができ、本物かどうかの判断材料にはなりません。

PSE マークと事業者名

リチウムイオン蓄電池を国内で売るには、電気用品安全法に基づく PSE マークと、届出をした事業者の名前の表示が必要です。NITE の資料も、リスクの高い非純正バッテリーの例として、事業者名が書かれていないもの、表記の日本語がおかしいものを挙げています。互換品を見るときは、PSE マークのそばに事業者名があるかどうかが最低限の確認になります。ただ、表示があっても安全が保証されるわけではないことは、上の事故データが示しているとおりです。

純正はいくらするか。1Whあたりで並べる

純正の値段を Ah (アンペア時) で割って比べる人は多いのですが、18V と 40Vmax のように電圧が違うバッテリーは Ah だけでは比べられません。下の表は、公称電圧×容量で出した Wh (ワット時) あたりの値段です。価格はマキタの標準小売価格と HiKOKI の希望小売価格 (いずれも税別) で、実売はこれより安いことがほとんどです。40Vmax は満充電時の電圧を表した呼び方なので、計算には公称の 36V を使いました。

メーカー型番電圧・容量電力量標準小売価格・希望小売価格 (税別)1Whあたり
マキタBL1815N18V 1.5Ah27Wh13,700円約507円
マキタBL1820B18V 2.0Ah36Wh14,700円約408円
マキタBL1830B18V 3.0Ah54Wh19,000円約352円
マキタBL1850B18V 5.0Ah90Wh23,000円約256円
マキタBL1860B18V 6.0Ah108Wh24,400円約226円
マキタBL189018V 9.0Ah162Wh31,900円約197円
マキタBL402540Vmax 2.5Ah90Wh24,400円約271円
マキタBL404040Vmax 4.0Ah144Wh28,700円約199円
マキタBL4050F40Vmax 5.0Ah180Wh39,200円約218円
HiKOKIBSL1820M18V 2.0Ah36Wh15,800円約439円
HiKOKIBSL1840M18V 4.0Ah72Wh20,000円約278円
HiKOKIBSL36A18X36V 2.5Ah (18V 5.0Ah)90Wh27,300円約303円
HiKOKIBSL36B18X36V 4.0Ah (18V 8.0Ah)144Wh31,200円約217円

マキタの 18V では、容量が大きいほど1Whあたりは安くなり、BL1815N と BL1860B では2倍以上違います。BL1860B と BL1850B の標準価格の差は1,400円しかありません。予備を1本買うなら、ほとんどの人には BL1860B がいちばん割安です。

その上の BL1890 (9.0Ah) と BL18120 (12.0Ah、標準価格42,500円) は1Whあたりがさらに安いものの、マキタは使えない機種を具体的に挙げ、それ以外の機種でも使用に制限があるとしています。工具に合うかを確かめずに買うと、割安どころではなくなります。

40Vmax では BL4040 が1Whあたり約199円で、18V の BL1860B より安くなります。2.5Ah の BL4025 は 18V の BL1850B と同じ 90Wh ですが、標準価格は1,400円高めです。

HiKOKI のマルチボルトは、36V の機種では 2.5Ah・4.0Ah、18V の機種では 5.0Ah・8.0Ah として働きます。表示の Ah が電圧で変わるだけで、電力量は同じです。BSL36A18X (90Wh) の質量は 740g、BSL36B18X (144Wh) は 1,020g と、容量に応じて重くもなります。

予備を買う前に考えたいこと

家具の組み立てや棚の取り付けくらいなら、セットに付いてくる2本で足りることがほとんどです。1本を使っている間にもう1本を充電でき、BL1860B なら急速充電器 DC18RF で約40分で満充電になります (実用充電は約27分)。3本目が要るのは、草刈機やチェンソー、掃除機のように1台で長く回す工具が加わったときです。

反対に、手が疲れやすい人や天井に向けて使う作業が多い人は、大容量を1本足すより、BL1830B のような小さめの純正を足したほうが扱いやすくなります。1Whあたりは割高ですが、本体価格は BL1860B より5,400円低くなります。互換品を選ぶ理由が「安いから」なら、まずこの選択肢と比べてください。

18V と 40Vmax、どちらのバッテリーで揃えるか

マキタの 18V と 40Vmax は別のシリーズで、工具にバッテリーを差し替えて使うことはできません。すでに 18V の工具を持っているなら、追加も 18V で揃えるのが基本です。18V には掃除機、草刈機、ブロワなど家庭で使う機種が多く、1種類のバッテリーで回せる範囲が広くなります。

40Vmax を選ぶ理由があるのは、丸のこやハンマドリル、チェンソーのように負荷の大きい作業を長時間続ける場合です。マキタの 40Vmax バッテリーには、最大出力の目安として BL4025 で 1.1kW クラス、BL4040 で 1.5kW クラス、高出力タイプの BL4050F で 2.1kW クラスという数字が公表されています。家具の組み立てや一般的な DIY でここまでの出力が要る場面は多くありません。

両方を持つ場合に助かるのが、充電器の互換アダプタです。40Vmax の急速充電器 DC40RA (2口の DC40RB も同じ) に別売の ADP10 (標準価格6,200円) を付けると、18V と 14.4V のバッテリーも充電できます。BL1860B の充電時間は DC18RF と同じ約40分です。ただし ADP10 はライトバッテリ (型番末尾 G) に対応せず、40Vmax 用でも DC40WA・DC40WB には使えません。

逆向きはできません。18V 用の DC18RF が充電できるのは 18V と 14.4V のバッテリーで、40Vmax は入りません。マキタはライトバッテリも DC18RF では充電できないとしていて、ライトバッテリは DC18SG などの専用充電器を使います。

HiKOKI は、急速充電器 UC18YDL2 (希望小売価格22,200円) や UC18YSL3 (同19,600円) が、マルチボルトと 18V・14.4V の電池をまとめて充電できます。工具側の対応は、上で触れたドライバーの記事で整理しています。

充電器は、セットとの差額で考える

マキタの 18V 用充電器は、速さで値段が分かれています。BL1860B を満充電にする時間と標準小売価格 (税別) は次のとおりです。

充電器種類BL1860B の充電時間標準小売価格 (税別)
DC18RF急速充電器 (USB 端子付き)実用約27分・満充電約40分16,900円
DC18RC急速充電器約55分16,900円
DC18SD充電器約130分7,900円
DC18WCコンパクト充電器約160分7,900円

DC18RF と DC18RC は同じ標準価格なので、新しく買うなら DC18RF です。家で使うだけで、作業の合間に急いで充電する必要がなければ、DC18SD でも困りません。

充電器を持っていない人が本体を買う場合は、セットの差額も見ておいてください。インパクトドライバ TD173D の標準価格では、BL1860B 2本とケースが付く TD173DX が74,500円、それに DC18RF が加わる TD173DRGX が83,000円で、差は8,500円です。DC18RF を単品で買う標準価格のほぼ半分にあたります。実売では差が変わるので、下のカードで単品の値段を確かめてから決めてください。

使い終わったバッテリーの出し方

リチウムイオンバッテリーは、燃えないごみに混ぜると収集車や処理施設の火災の原因になります。純正品なら出し先ははっきりしています。

マキタは小型充電式電池のリサイクルを行う JBRC の会員で、本社と国内の営業所を回収拠点に登録しています。取扱説明書でも、使用済みバッテリーは販売店か営業所へ持参するよう案内しています。HiKOKI を販売する工機ホールディングスジャパンも JBRC の会員です。どちらの純正品も、家電量販店やホームセンターなどの JBRC 協力店の回収箱に出せます。出す前に、端子の金属部分を絶縁テープでふさいでください。

困るのは互換品です。JBRC が回収するのは、会員企業の製品で、電池の種類がはっきりしていて、破損や水濡れ、膨張のないものに限られます。会員企業以外の製品やメーカー不明品は対象外で、JBRC はメーカーや自治体に相談するよう案内しています。互換バッテリーの販売元の多くは会員ではないので、協力店の回収箱には入れられません。純正品でも、膨らんだり割れたりしたものは同じく対象外です。

互換品をすでに持っている場合は、販売元が回収の窓口を案内しているか、住んでいる自治体がリチウムイオン電池をどう集めているかを確認してください。これから買う人にとっては、捨てるときの手間も値段の差に含めて考えておきたいところです。

それでも互換品を使うなら

すでに手元にある、あるいは事情があって互換品を選ぶ場合に、NITE の資料から言えることを挙げておきます。

  • 本体に事業者名と連絡先、PSE マークが表示されているかを確かめる
  • 消費者庁のリコール情報サイトで、型番や販売元がリコールの対象になっていないかを調べる
  • 事故の8割が充電中に起きているので、充電中はその場を離れず、燃えやすいものの近くで充電しない
  • 使わないときは工具や充電器から外して保管する (保管中の事故も1割ある)

NITE が挙げた掃除機用の非純正バッテリーには、リコール中の製品で、充電も使用もしていない保管中に出火した例があります。リコールを行った輸入事業者のうち1社は、すでに倒産しています。

出典

FAQ

Q.互換バッテリーの事故はどのくらい起きていますか?
A.NITE (製品評価技術基盤機構) が2024年6月27日に公表した資料では、2014〜2023年の10年間に非純正バッテリーによる事故が235件あり、227件が火災でした。製品別では充電式電動工具が103件と最も多く、うち102件が火災、7件は建物の全焼に至っています。事故の78% (182件) は充電中に起き、使い始めて1年未満の事故が53% (125件) を占めています。
Q.互換バッテリーを使ってマキタの工具が壊れたら、修理してもらえますか?
A.マキタは、模倣品・互換品の電池パックや充電器、電池パックの中の充電池だけを交換したリサイクル修理品の使用に起因する事故・故障について、一切の責任を負いかねると告知しています。HiKOKI も、模倣品や改造した蓄電池 (内蔵部品を交換するリサイクル修理を含む) に起因する事故・故障について同じ趣旨の告知を出しています。
Q.本物の BL1860B と模造品はどこで見分けられますか?
A.マキタが公開している比較では、ロゴのフォント、バッテリーのレールの形と高さ、端子の形、底面のビス穴の白いキャップ (純正は1か所にある)、取りはずしボタンの赤いテープ (純正にはある) の5か所が挙げられています。ラベルや PSE マークは模造品にもそっくり印刷されているので、それだけでは決め手になりません。
Q.マキタの40Vmaxの充電器で18Vのバッテリーは充電できますか?
A.急速充電器 DC40RA (と2口の DC40RB) に、別売の互換アダプタ ADP10 を付ければ、18V と 14.4V のリチウムイオンバッテリーを充電できます。ライトバッテリ (型番末尾 G) は対象外で、DC40WA・DC40WB には ADP10 を使えません。反対に、18V 用の DC18RF で 40Vmax のバッテリーは充電できません。
Q.使い終わったバッテリーはどこに出せばいいですか?
A.マキタと HiKOKI (工機ホールディングスジャパン) はどちらも JBRC の会員なので、純正品は家電量販店などの JBRC 協力店に出せます。マキタは本社と国内営業所も回収拠点にしています。端子は絶縁テープでふさいでください。JBRC は会員企業以外の電池、メーカー不明品、膨張・破損した電池を回収しないため、多くの互換品は販売元や自治体に相談することになります。

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