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比較記事 / プリンター

エコタンク・ギガタンクは月何枚で元が取れるか。カートリッジ機との差をメーカー公表の印刷コストで計算

EC最安値.com 編集部比較・掲載方針

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学校からのお知らせがPDFで届くようになり、カラーの学年だよりや持ち物リストを毎週のように刷る家庭は多いはずです。そのたびに6色パックのインクを買い足していると、大容量タンクの機種に替えたら本当に安くなるのかが気になってきます。

タンク式は1枚あたりのインク代が安い代わりに、本体が高めです。ここでは、エプソン・キヤノン・ブラザーが公表している印刷コストを同じ表に並べ、本体の差額を月何枚印刷すれば取り戻せるかを計算しました。後半では、型番が変わった機種のうち、前のモデルで十分なものを整理しています。

A4文書1枚のインク代を各社の公表値で並べる

数値はすべて各メーカーの製品ページと仕様表に載っている A4普通紙のインクコスト (税込) です。用紙代は含みません。エプソンは増量タイプのインクを使った場合、キヤノンのカートリッジ機は大容量タイプを使った場合の値です。

機種方式対応インクA4モノクロA4カラー
エプソン EP-889A / EP-887Aカートリッジ 6色カニ (増量)約5.1円約14.8円
エプソン EW-559Aカートリッジ 4色IB17約5.6円約16.2円
キヤノン TS8930 / TS8830カートリッジ 6色BCI-331XL・330XL約4.6円約13.1円
ブラザー DCP-J929N / DCP-J529Nカートリッジ 4色LC511約3.0円約12.0円
キヤノン XK140カートリッジ 5色XKI-N21・N20約1.7円約4.2円
ブラザー DCP-J1270N大容量カートリッジ 4色LC514約1.0円約6.4円
ブラザー DCP-J4250Nファーストタンク 4色LC516XL約0.8円約4.1円
エプソン EW-M757T / EW-M754Tエコタンク 5色ケンダマ・タケトンボ (増量)約1.6円約3.7円
エプソン EW-M638Tエコタンク 4色ヤドカリ・ハリネズミ約0.4円約1.0円
エプソン EP-M476Tエコタンク 4色オハジキ約0.3円約0.9円
キヤノン G3390ギガタンク 4色GI-31約0.5円約1.0円

同じメーカーの6色カートリッジ機と比べると、ギガタンクの G3390 や EW-M638T はカラー文書で10分の1以下です。ブラザーのファーストタンクは、インクボトルで注ぎ足すのではなく、大容量のカートリッジを差し替える方式です。タンク式ほどではないものの、同社の標準モデル (LC511) と比べてモノクロは4分の1ほどに下がります。

表のなかで目を引くのが、エコタンクなのにカラー約3.7円の EW-M757T です。この機種は顔料と染料の2種類の黒を含む5色インクで、文書と写真の両方をきれいに刷ることを狙った構成です。さらに、エプソンが「使い切りサイズ」と呼ぶ 12ml の小さいボトル (カラー約1,000ページ分) も用意していて、印刷枚数が少ない家庭でも古いインクを抱え込みにくい設計です。文書だけなら EW-M638T のほうがずっと安く刷れますが、L判写真のインクと用紙の合計は EW-M757T が約12.2円で、6色カートリッジの EP-889A (約26.2円) の半分以下に収まります。写真を刷る家庭と書類ばかりの家庭とで、同じエコタンクでも向く機種が分かれます。

ブラザーにも、カートリッジ式のまま費用を抑えた DCP-J1270N があります。本体は同社のエントリーモデル DCP-J529N と同じ印刷速度 (A4カラー約9ipm、モノクロ約15ipm) で、大容量カートリッジ LC514 を使う分、モノクロが約1.0円まで下がります。キヤノンの XK140 も、カートリッジ式でありながらカラー約4.2円です。

メーカーの数字が実際のインク代より安く出る理由

各社の算出条件を読むと、測り方の大枠は共通しています。

エプソンは、JEITA (電子情報技術産業協会) の「家庭用インクジェットプリンタの印刷コスト表示に関するガイドライン」に準拠し、印刷できる枚数を ISO/IEC 24711 の方法で、カラーは ISO/IEC 24712、モノクロは ISO/IEC 19752 の文書パターンで測っています。初期セットアップに使ったインクではなく、2回目以降に入れたインクで測り、用紙代は含みません。インクの価格には、2026年10月1日時点のエプソンダイレクトショップの価格を使っています。キヤノンのカートリッジ機も同じ JEITA ガイドラインに従った表記で、TS8930 や G3390 の数値は2026年9月時点の参考値とされています。ギガタンクの印字可能枚数は「ISO/IEC 24712 を使用し、キヤノン独自の測定方法で算出」とされています。ブラザーは同ガイドライン第3版に準拠し、ブラザーダイレクトクラブの価格をもとに計算しています。

この条件から、実際の家庭のインク代が公表値より高くなる理由が2つ見えてきます。

ひとつは、ヘッドを保つために消費するインクが入っていないことです。エプソンは注記で、電源を入れたときや印刷中に定期的に各色のインクを消費する場合があると書いています。1回に1〜2枚しか刷らず、しばらく間があく使い方では、この分の比率が大きくなります。

もうひとつは、インクの値上げで数字そのものが動くことです。EW-M754T の発売時 (2021年11月) の A4カラー文書の公表値は約3.0円でしたが、同じインクを使う EW-M757T の公表値は約3.7円です。エプソンは直販サイトの価格が改定されると印刷コストも計算し直しています。機種同士を比べるときは、同じ時期に計算された数字どうしで比べないと差を読み違えます。

本体の差額を月何枚で取り戻せるか

ここからは、同じメーカーのカートリッジ機からタンク式に替えた場合を計算します。前提は次のとおりです。

  • 1枚あたりのインク代は上の表の公表値を使う
  • カラーとモノクロを半々で印刷する
  • 本体の差額を1万円とする (差額が2万円なら期間は2倍、5,000円なら半分)
  • 用紙代はどちらの機種でも同じなので計算に入れない
組み合わせ (カートリッジ機 → タンク式)1枚あたりの差 (モノクロ / カラー)半々で印刷したときの差月20枚月50枚月100枚月200枚
エプソン EP-889A → EW-M757T3.5円 / 11.1円7.3円約68か月約27か月約14か月約7か月
キヤノン TS8930 → G33904.1円 / 12.1円8.1円約62か月約25か月約12か月約6か月
エプソン EW-559A → EW-M638T5.2円 / 15.2円10.2円約49か月約20か月約10か月約5か月
ブラザー DCP-J929N → DCP-J4250N2.2円 / 7.9円約5.1円約99か月約40か月約20か月約10か月

月50枚の家庭なら、エプソンとキヤノンの組み合わせで1万円の差額はおよそ2年前後で戻ってきます。ブラザーは差が小さい分、3年余りかかります。年に換算すると、キヤノンの組み合わせで約4,900円、エプソンの EW-559A と EW-M638T の組み合わせで約6,100円インク代が下がる計算です。

月20枚程度になると、回収までに4〜8年かかります。エプソンは EW-M757T の耐久性 (製品寿命) を「A4印刷時 5万ページまたは5年」としているので、元を取る前に買い替え時期が来てもおかしくありません。さらに前の節で書いたとおり、印刷の間隔があく家庭ほどヘッドの保守に使うインクの比率が上がり、実際の差は計算より縮みます。

モノクロ中心の家庭は、カラーの差が効かない分だけ回収が遅くなります。TS8930 から G3390 への切り替えで1枚あたりの差は4.1円なので、月50枚でも約49か月かかります。書類をモノクロで大量に刷るなら、カラー機の比較よりも、モノクロ約0.4円の EW-M638T や約0.8円のブラザー DCP-J4250N のように、黒インクのボトルやカートリッジが大きい機種を選ぶほうが効きます。

一方で、差額が1万円もない組み合わせもあります。キヤノンオンラインショップの本体価格では、G3390 のほうが TS8930 より安く設定されています。G3390 は L判写真の印刷が約37秒と、TS8930 (約10秒) より遅く、インクも4色です。写真をあまり刷らない家庭なら、計算するまでもなく G3390 を選ぶ理由があります。

型番が変わった機種と、前のモデルで足りるもの

家庭用プリンターの多くは秋に新しい型番が出ます。ただ、新旧でインクが共通なら1枚あたりのインク代は同じで、違いは機能の細部に限られることがよくあります。

エプソン EW-M754T と EW-M757T

EW-M757T は2024年11月発売、EW-M754T は2021年11月発売です。エプソンの仕様表を並べると、インク (ケンダマ・タケトンボ)、印刷速度、4.3型タッチパネル、自動両面印刷、本体サイズ (収納時 390×339×166mm)、重さ (約6.3kg) まで一致します。違いは、EW-M754T にあった前面USBのPictBridge対応が EW-M757T でなくなったことと、本体色にピスタチオグリーン (TP) が加わったことくらいです。EW-M754T はエプソンのサポートページで修理受付が2031年11月30日までとされています。安く残っているなら EW-M754T で困ることはありません。

さらに前の EW-M752T (2019年10月発売) も同じインクを使いますが、エプソンのサポートページでは修理受付が2026年9月30日で終了しています。中古や在庫品で見かけても、故障したときにメーカー修理を受けられない点は承知しておく必要があります。印刷時に排紙トレイが自動で開く機構と、インク残量を知らせる LED も EW-M754T から加わったものです。

エプソン EP-887A と EP-889A

EP-889A は2026年10月29日発売の後継機で、EP-887A (2024年10月発売) はその前のモデルです。どちらもカニのインクを使い、A4カラー文書約14.8円、L判写真約26.2円、本体サイズ (収納時 349×340×142mm) も同じです。

違いは無線LANで、EP-889A は 5GHz帯 (IEEE802.11a/b/g/n/ac) に対応し、EP-887A は 2.4GHz帯 (b/g/n) だけです。電子レンジの近くに置く、2.4GHz帯が混み合う集合住宅に住んでいるといった事情があれば EP-889A を選ぶ意味があります。逆に、CD・DVDのレーベルを印刷したい人は注意が必要です。EP-887A にはディスクトレイが付属していましたが、EP-889A では別売りになりました。

同時に発表された EP-819A と前モデルの EP-817A も、カキゴオリのインクと印刷コスト (A4カラー約21.2円) が共通で、ディスクトレイが別売りになった点が主な違いです。

エプソン EW-456A と EW-559A

こちらは名前が近くても中身が別の機種です。EW-559A (2026年10月29日発売) は新しい IB17 インクを使い、A4モノクロのインク代が EW-456A の約8.1円から約5.6円に下がりました。給紙は背面100枚から前面150枚になり、モノクロの印刷速度も 10ipm から 15ipm に上がっています。その分、本体は約4.3kgから約5.4kgへ重くなりました。インクが違うので、EW-456A のインクを買い置きしている人は流用できません。

キヤノン TS8830 と TS8930

TS8930 は2025年10月発売、TS8830 は2024年9月発売です。キヤノンの仕様表では、インク (BCI-331XL・330XL)、A4の印刷速度 (カラー約10.0ipm、モノクロ約15.0ipm)、L判写真約10秒、印刷コストがいずれも同じです。キヤノンが TS8930 の特長として挙げているのは、Canon ID と連携するとメーカーの無料保証が1年延長される点です。保証の延長に価格差ほどの価値を感じなければ、TS8830 で足ります。

カートリッジ機のままでよい家庭

計算を踏まえると、印刷が月20枚に届かない家庭は、タンク式に替えてもインク代の差で本体価格を取り戻しにくいです。年賀状と、たまに届く書類を刷る程度なら、6色カートリッジ機の写真画質や、L判写真を約10秒で刷れる速さのほうが満足度に直結します。

月50枚を超え、カラーの書類も多い家庭は、タンク式に替える価値がはっきり出ます。写真も刷るなら EW-M757T、書類が中心なら EW-M638T か G3390 が候補です。ブラザーのファーストタンク DCP-J4250N は全色顔料インクなので、カラーのグラフや細かい文字のにじみを抑えたい用途に向きます。

インク以外の消耗品もあります。エプソンは EW-M757T と EP-889A 用に EPMB1、EW-M638T と EW-559A 用に EWMB2 というメンテナンスボックスを用意していて、この費用は1枚あたりのインクコストに入っていません。タンク式かカートリッジ式かにかかわらず必要になる部品です。

価格を比べる

プリンターを 5GHz帯の Wi-Fi につなぐ場合は、ルーター側の設定も関係します。Wi-Fi ルーターの比較記事もあわせて参考にしてください。

出典

  • エプソン 製品情報 EW-M757TW/TB/TP、EW-M638T、EP-M476T、EP-889AW/AB/AP、EP-887AW/AB/AP、EP-819A、EP-817A、EW-559A、EW-456A (各製品ページ・仕様・消耗品)
  • エプソン EW-M754TW/TB 仕様 (販売終了製品)、EW-M754TW サポートメニュー (発売日・修理対応期限)
  • エプソン プリンター製品情報 各種数値計測条件
  • エプソン カラリオプリンター 新着情報 (2026年10月1日発表)
  • キヤノン PIXUS 商品情報 G3390、TS8930、TS8830、TS7630、XK140 (トップ・仕様)
  • ブラザー インクジェットプリンター・複合機 DCP-J529N、DCP-J929N、DCP-J1270N、DCP-J4250N (製品ページ・仕様・スペック)
  • 価格.com 製品情報 (EW-M754T、TS8930、TS8830、G3390 の発売日、EW-M754T 発売時の印刷コスト)

FAQ

Q.エコタンクは月に何枚くらい印刷すれば元が取れますか?
A.カラーとモノクロを半々で印刷し、本体の差額が1万円の場合で計算すると、エプソンとキヤノンの組み合わせでは月50枚でおよそ2年前後、月100枚で1年前後です。ブラザーのファーストタンクは1枚あたりの差が小さく、月50枚で3年余りかかります。月20枚程度だと4〜8年かかり、エプソンがエコタンク機の製品寿命の目安としている5年に近づくため、カートリッジ機のままでも損はしにくくなります。差額が2万円なら期間は2倍です。
Q.EW-M754T と EW-M757T は何が違いますか?
A.エプソンの仕様表では、インク (ケンダマ・タケトンボ)、印刷速度、本体サイズ、重さ (約6.3kg) が同じです。違うのは、EW-M757T で前面USBのPictBridge対応がなくなったことと、本体色にピスタチオグリーンが加わったことくらいです。インクが共通なので1枚あたりのインク代も変わりません。EW-M754T の修理受付は2031年11月30日までです。
Q.EP-887A と新しい EP-889A は何が違いますか?
A.どちらもカニのインクを使い、A4カラー文書約14.8円、L判写真約26.2円という印刷コストも同じです。EP-889A は無線LANが5GHz帯 (Wi-Fi 5) に対応し、EP-887A は2.4GHz帯だけです。一方で EP-889A にはディスクレーベル印刷用のトレイが同梱されず別売りになりました。EP-889A は2026年10月29日発売の後継機で、EP-887A はその前のモデルです。
Q.メーカーが公表している印刷コストは実際の金額と同じですか?
A.同じにはなりません。各社とも JEITA のガイドラインに沿って、ISO/IEC 24712 などの標準的な文書パターンを連続印刷して算出しています。用紙代は含まず、計算に使うインク価格もメーカー直販サイトの価格です。電源を入れたときやヘッドの清掃で消費するインクも1枚あたりの数字には入っていないので、印刷の間隔があく家庭ほど実際のインク代は公表値より高くなります。

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